会員専用ページ ログイン

  

(一社)日本医療機器テクノロジー協会について

2024年度事業計画

Ⅰ.総 論

新型コロナウイルスのパンデミックは収束に向かったものの、ウクライナやイスラエル・パレスチナの紛争は未だ終結に至らず、世界情勢の緊迫は続いている。経済の不透明感から、部素材価格は高止まったまま画期的な改善は見込めず、対応が必至となっている物流の2024年問題も懸念される。

医療機器を取り巻く環境の変化はこれだけでない。少子・高齢化が進み、医療者の長期的な不足が見込まれる中、医師の働き方改革・医療従事者の勤務環境改善の推進は2024年診療報酬改定の骨子ともなった。働き方改革の手段ともなりえる医療のDX化はますます加速する。社会に求められる医療テクノロジーの創出は、変化に対応するだけでは実現できず、変化を先取りしてこそ実現されるものとなっていくだろう。

このような課題認識の下、2024年1月にMTJAPANの中期ビジョンを公表した。

【中期ビジョン】

私たちは、常に変化を先取りし、イノベーティブ&サスティナブルな医療の実現を通じて社会に貢献し続けます

  • 医療者のみならず、国民からも信頼され、期待される医療機器産業の実現をめざします
  • 成長産業としての期待に応えていきます
  • 業界のリーディング団体として貢献し続けます

これらを踏まえ、2024年度は、以下の3つの重要テーマを設定し、各々の重点施策に取り組むこととする。

【重要テーマ】
  1. 安心・安全・信頼の確保
  2. イノベーションによるグローバルな市場創造に向けた取り組み
  3. 組織力・人財育成の強化

Ⅱ.2024年度重点施策と主要課題

  1. イノベーション創出に向けた産業基盤の強化
    • 政策動向の分析と政策提言への取り組み
    • 医療機器イノベーション創出の機会提供への取り組み
    • 研究開発技術者及びISO,JIS等規格対応育成への取り組み
    • 部材供給円滑化への取り組み
  2. 医療機器の特性を踏まえた規制と審査の最適化への取り組み
    • 薬機法改正への取り組み
    • 医療機器開発プロセスと規制の最適化の検討
    • 医療機器の特性に合わせた承認審査制度の検討
    • デジタル技術を活用した手続きの効率化の検討
  3. 治験・臨床研究の円滑化への取り組み
    • 臨床研究法改正課題への対応
    • 患者レジストリ利活用、治験効率化への取り組み
    • 臨床評価のあり方、被験者保護等の検討
    • リアルワールドデータの承認審査への活用に関する検討
  4. 産業基盤の強化・成長に向けた医療保険制度整備への取り組み
    • 医療保険制度のあり方に関する調査検討
    • イノベーション評価のあり方に関する検討
    • 安定供給の維持に向けた制度面からの検討
    • 2026年度診療報酬改定における業界提案施策のためのエビデンス作成に関する検討
  5. 国際展開の推進
    • 海外展開支援促進策の検討
    • 国際薬事規制・業界動向の把握と周知への取り組み
    • 法規制の国際整合への取り組み
    • 国際展開戦略策定および提言への取り組み
  6. 医療安全への取り組み
    • 相互接続防止コネクタの円滑な市場導入への取り組み
    • 保守管理等医療機器の定期点検、安全確保に関するユーザーへの周知
    • サイバーセキュリティへの取り組み
  7. コンプライアンスの徹底
    • 企業倫理・コンプライアンスに関する啓発活動の推進
    • プロモーションコード、公正競争規約、適正広告ガイド等の理解促進への取り組み
    • 競争法コンプライアンス規程の周知と遵守の徹底
    • 透明性ガイドラインの意義を踏まえた情報公開の推進
  8. 流通機構における情報化等への取り組み
    • 物流2024年問題への対応
    • 医療機器流通特有の課題への対応
  9. 情報発信の強化
    • 国民に対する医療機器への理解度向上への取り組み
    • 業界団体活動の対外発信力の強化
    • 会員向け提供情報の質向上に向けた継続的な取り組み
    • MTJAPAN医療機器統計資料の編纂と対外活用の推進
  10. 環境規制への取り組み
    • EOG大気排出抑制対策への取り組み
    • 原材料、化学物質及び環境等に関する法規制の周知と遵守の徹底
    • 医療機器のライフサイクルに纏わる環境対策への取り組み
  11. 災害発生時等の安定供給懸念解消への取り組み
    • 安定供給確保のための情報収集や発信を担うための防災訓練の実施
    • 製造所・流通拠点(サプライチェーン)マップの整備
    • 被災状況および医療への影響度を迅速に把握する体制の整備
    • 代替品確保支援への取り組み
  12. MTJAPANのさらなる活性化に向けた取り組み
    • 次世代人財育成策の実施
    • 業界組織率の向上をめざした新規会員の獲得
    • 中期ビジョンの浸透

以上

2024年度部会事業計画概要

  1. 第1ディスポ部会

    国際規格委員会によるISO等の情報提供を継続する。また、法制委員会、安全性情報委員会、企業倫理委員会、環境委員会等の各委員会、並びに公取協MTJ支部によるタイムリーな報告、講演を行う。JISについては、改正に向けた活動を継続する。

    さらに、MTJ人材育成施策へ対処するとともに部会としては幹事会社募集による人材育成への取り組みを継続する。

  2. 第2ディスポ部会

    競争法コンプライアンス規程を遵守し、理事会報告、公取協の活動報告及び各委員会情報の部会内共有化を図る。また、部会員の意見・要望を収集し、各委員会等へ提案して行く。

    今年度は、手術用ゴム手袋及び検査・検診用ビニル手袋、歯科用ビニル手袋のJIS改訂が実施されるため、日本グローブ工業会との連携を図って行く。

  3. 人工腎臓部会

    業界を取り巻くさまざまな環境変化に適確且つ迅速に対応するため、関連学会等ステークホルダーとより一層の連携強化に取り組む。また、部会員への適宜・適切な情報提供と共有化等により部会活動の更なる活発化活性化を図る。

  4. 人工心肺部会

    関連する学会、部会との連携強化を図り、環境変化への対応を行う。部会企業への適切な情報提供と情報収集を迅速に行い部活動の活性化を図る。

  5. 血液浄化部会

    関連する部会・委員会、学会等との連携を行いながら、当部会の関連課題に対する活動を実施する。医薬品医療機器法や安全対策、災害対策、安定供給、診療報酬、企業倫理などの関連情報を迅速かつ適切に共有しながら対応を行い、医療機器業界の発展に向けた健全で適切な活動を推進する。

  6. 第1カテーテル部会

    前年度に続きMTJAPAN理事会、事務局、各委員会からの情報をメール・部会でタイムリーに提供する。特に保険制度、法制、ISO 80369、環境、コンプライアンスに重きを置く。

  7. 第2カテーテル部会

    部会は定期開催することで、主に理事会からの情報を提供する。また、部会から派遣している部会代表や委員会に所属する委員から、当部会に関連する情報を資料と共に提供する。

    昨年9月当部会所属の企業からコンプライアンス違反が起きたことを重く受け止め、コンプライアンスの徹底の重要性を周知する。

    また、本年1月に起きた能登半島地震を振り返り、災害発生時の安定供給につき改めて部会内でも懸念の解消に努める。但し、企業だけに求められるものではなく行政に対しても要求していく。

    他、当部会にはMTJAPANに未加入のSTMメンバーがいるので、対象企業にはMTJAPANへの参画を促すべく、MTJAPAN事務局と協業でMTJAPANへの加入に取り組む。

  8. 総合インプラント部会

    ア.Webによる定例報告会の開催(2ヶ月毎)

    イ.コンプライアンス小委員会の開催(毎月)

  9. 整形インプラント部会

    2023年度に引続き部会への積極的参画を促進すると共に、次世代人材の育成発掘を進める。定例部会及び幹事会を四半期ごとに実施し、タイムリーな情報の提供及び闊達な意見交換の場を増やす。

    また、各小委員会リーダーと共に整形業界における課題に取り組み、部会全体として法規制への対応、コンプライアンス強化に努めていくとともに、次期診療報酬改定に向け、2024年度改定の振返り及び部会要望の取り纏めを開始する。

  10. 再生医療部会

    行政からの通知について部会内で情報共有を行うとともに、意見募集等依頼事項や、説明会の開催等に対して随時対応する。再生医療等製品の諸課題に関する検討会議を通して次期薬機法改正に向けた課題の共有と業界意見の取りまとめを行う。また、公的な活動へ参画し、意見提出や当該活動に関し、部会内への情報共有を行う。さらに、法制委員会での提供、議論された内容で、再生医療にも関連するものと考えられる情報については共有を行う。

  11. 創傷被覆材部会

    ・市場成長や市場拡大に向けた学会活動や診療報酬改定の活動

    ・適正な競争環境の推進のためのコンプライアンスの徹底

  12. 在宅医療機器部会

    医療行政において「在宅医療の充実」は引続き重点課題とされている。当部会は、MTJAPANの中で在宅医療関連の事業を行っている企業が集まっている唯一の部会であり、自らの立場・役割を十分認識し、在宅療養を行っている患者さんの安心と安全に十分配慮しながら、更なる質の向上と安全確保に向けて諸課題に積極的に取り組んでいく活動を行う。

    会員各社が携わっている在宅医療は、在宅酸素療法、在宅自己腹膜還流療法、在宅中心静脈栄養法など多岐に亘っていて拡大する方向にあり、取扱っている機器・材料類や対象となる患者様の生活実態などが異なるため、対応が一様でない部分もあるが、必要に応じて分科会新設も行い、行政の理解を深めることも含め、幅広い検討・協議をすすめていく。

以上

2024年度委員会事業計画概要

  1. 産業戦略委員会

    MTJAPAN関連産業発展に向けた産業戦略を担う委員会として、医療機器産業振興に関わる政策の情報共有および意見交換を行い、医機連と連携しての政策提言、産業成長のための基盤整備等を実施することで、会員企業ならびに医療機器産業全体に貢献する。

  2. 医療保険委員会

    2026年度診療報酬改定に向けた業界意見を取りまとめ、定期会合、中医協での意見陳述へつなぐ活動とする。特に安定供給の確保に向けた状況調査(案:不採算要望の実態、逆ザヤの実態)を実施し、中医協での議論に耐えうるエビデンスづくりと理論武装を行う。

    また、厚労省産情課や関係団体とは、意見交換などを通じ、引き続き連携を密に取り、一枚岩で改定に臨むこととする。

    会員向け説明会・講習会による個社のレベルアップならびに、有識者との勉強会により委員会のレベルアップを図る。

  3. 国際委員会

    会員企業の国際展開を支援するため、国際産業動向、規制情報や国際展開推進施策等について、国内外のステークホルダーとも連携して調査研究し会員企業に情報提供する。加えて海外展示会等でのブース出展を通して会員企業の優れた商品力、髙い技術力の海外展開支援に取り組む。さらに、アジアパシフィックや米国における医療機器産業の動向や業界団体の活動状況把握のためAPACMedやAdvaMedのCONFERENCE等に継続参加し、得られた情報の共有化に努める。また、海外展開支援のために現地関係機関や団体との協力関係構築等に引き続き取り組む。

  4. 技術委員会

    医療機器の技術開発の振興・成長に寄与することを目的として、医療IT、EMCなど医機連 技術委員会と連携し活動を行う。

    また、医療機器技術者の育成支援やレベルアップを目的に、知的財産戦略の推進、関連技術動向の調査研究など、技術開発の振興に資する調査研究を行うとともに関連施策の提言に取り組む。

  5. 流通委員会

    働き方関連法案実施(物流2024年問題)後の医療機器物流への影響調査、関連法案に関する情報について会員へ発信し共有、また業界としての対応策、今後の取り組みについて検討する。

    ICT利活用の推進、医療機器流通特有の課題への対応について関係団体との情報共有、連携しながら取り組む。

  6. 環境委員会

    2023年度に引き続き、EO排出抑制の自主管理計画の実施状況の調査及び目標設定への実行推進を図り、会員会社への情報提供・啓発を行う。環境省の環境目標値の検討について、情報の収集、意見提出等を行う。

    原材料、化学物質に関する海外・国内の規制について情報を収集し、共有化する。

    環境委員会セミナーを企画し、原材料、化学物質に関わる情報を発信していく。

  7. 法制委員会

    医機連の活動と連携して次期協働計画の課題等について情報共有・協議に取組む。

    規制や審査の最適化に向けた情報を先取りし、MTJAPAN での議論を活性化させ、サスティナブルで安心・安全な医療の実現に向けてのソリューションを提供していく。

    会員へのタイムリーな周知のため連絡会や報告会を継続実施する。

    組織力・人財育成の取組みとして、意見交換や交流の場を提供していくとともに、コア人財プログラムへの委員登録を推進する。

  8. 安全性情報委員会

    今年度も前年度と同様に、医機連PMS委員会への参画及び報告、MTJAPAN主催「販売業・賃貸業・修理業の営業管理者継続的研修」への協力及び「安全管理に係る説明会」の開催について、「安心・安全の確保」を軸にして活動していく。

  9. QMS委員会

    前年度に引き続き,医機連QMS委員会と連動し、医薬品医療機器法への対応(特に,改正QMS省令の運用)、ISO 13485およびMDSAP対応を中心に最新動向の周知を図ると共に、製販業者/製造業者のQMS底上げを図るべく、啓発に努める。

  10. 国際規格委員会

    ・ISO/TC(76,84,150,194,198)国際会議への専門委員派遣及びISO規格制定、改正の推進

    ・ISO/TC(76,84,150,194)国内委員会の開催、運営

    ・JIS小委員会、JIS原案作成委員会の開催及びJIS規格制定、改正の推進

    ・国際規格委員会(幹事会)の開催

    ・国際規格審議団体分科会(医機連主催)への参加

  11. 臨床評価委員会

    医機連・臨床評価委員会との連携し、医療機器の治験・臨床研究等の臨床評価全般について、法規制及び国際整合化に向けて課題抽出と解決に向けた活動を行う。また、会員企業や臨床試験関係者に対しては、関連通知や成果物の啓発活動に取り組む。

  12. 広報・教育委員会

    医療機器の価値ならびにMTJAPANの取り組みを社会に伝える。

    広報及び教育活動を充実させ、MTJAPAM全体で組織力強化、情報の共有化を図る。

  13. 企業倫理委員会

    適正広告ガイドや透明性ガイドラインの改定版の周知やQ&A集による理解促進を通じ、関連法令や業界ルールの遵守徹底に向けた啓発活動を継続する。これらの活動により、会員企業が高い倫理観を持ち、コンプライアンスを基盤とする事業活動を実現し、医療機器業界に対する社会からの信頼性確保および向上に寄与することを目指す。

    上記活動においては、医機連や公取協MTJAPAN支部と密に連携する。

  14. 統計委員会

    2024年度版MTJAPAN医療機器統計資料の発行を目指す。

    引き続き統計データの精度の維持向上を図るとともに、より有用で活用度の高い資料とするべく、継続して編集内容の見直しや資料の有効利用に関する検討も進める。

  15. 機器・メンテ委員会

    医療機器に関連する基準・規格や基盤技術から保守点検・修理について調査・検討を行い、品質・安全確保に向けた施策の立案・提言について、医療機器を保有している各部会と横断的な連携をはかり、課題検討や情報共有を行う。また、医機連 技術委員会 EMC分科会や販売・保守委員会へ委員を派遣し、医機連とも連携しながら活動を行う。

    その他、医療機関における保守管理の啓発活動を継続する。

以上