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(一社)日本医療機器テクノロジー協会について

2023年度事業計画

Ⅰ.総 論

新型コロナウイルスによる制約の影響が徐々に緩和され、社会経済活動は回復しつつあるものの、世界経済や国際物流の混乱、部素材価格上昇や入手難の状況が続いている。また、急激な少子・高齢化の進行を背景に、我が国の医療保険制度の維持に向け、給付と負担の見直しの議論が展開されており、診療報酬改定は厳しさを増している。一方で 2022年5月に閣議決定された第二期医療機器基本計画では、産業界に対し、人財育成、医療機器研究開発や国際展開の促進への期待が示された。

MTJAPANは、このような困難な状況に対し、会員の健全な事業活動の維持、発展に努めるため、迅速かつ柔軟な対応や戦略的提言を発信していく。そして、当会のミッションである「安全でかつより革新的な医療機器テクノロジーを速やかに提供することにより、日本をはじめ世界の医療の質の向上と日本の医療機器テクノロジー産業の振興に貢献する」ことに努めていく。

設立10周年を迎える本年は、会員の事業拡大機会の創出や事業環境の整備に向けた戦略立案、施策実行そして提言発出を行っていく。さらに、将来の産業界を担う人財育成に着手するなど、会員が一体となり、活動の活性化に向けた取り組みを行っていく。

医療への安心安全の提供も MTJAPAN の務めであることから、引き続き、医療現場への適確な情報提供を行い、より一層の信頼性、透明性の確保に努め、企業倫理の徹底や透明性ガイドラインに基づく情報公開、公正競争規約等の周知徹底を図っていく。

これらに鑑み、 2023年度は、以下の3つの重要テーマを設定し、各々の重点施策に取り組むこととする。

【重要テーマ】
  1. 産業基盤強化と持続的成長に向けた取組み
  2. 安心・安全・信頼の確保
  3. 組織力・提言力の強化

Ⅱ.2023年度重点施策と主要課題

  1. イノベーション創出に向けた産業基盤の強化
    • 政策動向の分析と政策提言への取り組み
    • 医療機器イノベーション創出の機会提供への取り組み
    • 研究開発技術者育成への取り組み
    • 部材供給円滑化への取り組み
  2. 医療機器の特性を踏まえた規制と審査の最適化への取り組み
    • 改正医薬品医療機器法における諸制度施行への対応
    • 医療機器開発プロセスと規制の最適化の検討
    • 医療機器の特性に合わせた承認審査制度の検討
    • 承認審査の迅速化・効率化 及び 負担軽減への取り組み
  3. 治験・臨床研究の円滑化への取り組み
    • 臨床研究法の改訂に向けた取り組み
    • 患者レジストリ利活用、治験効率化への取り組み
    • 臨床評価のあり方、被験者保護等の検討
    • リアルワールドデータの承認審査への活用に関する検討
  4. 産業基盤の強化・ 成長に向けた医療保険制度整備への取り組み
    • 2024年度診療報酬改定への取り組み
    • 医療保険制度のあり方に関する調査検討
    • イノベーション評価のあり方に関する検討
    • 安定供給の維持に向けた制度面からの検討
  5. 国際展開の推進
    • 安定供給の維持に資する国際連携策に関する検討
    • 国際薬事規制・業界動向の把握と周知への取り組み
    • 法規制の国際整合への取り組み
    • 国際展開戦略策定および提言への取り組み
  6. 医療安全への取り組み
    • 相互接続防止コネクタの市場導入への取り組み
    • 保守管理等医療機器の定期点検、安全確保に関するユーザーへの周知
    • サイバーセキュリティへの取り組み
  7. コンプライアンスの徹底
    • 企業倫理・コンプライアンスに関する啓発活動の推進
    • プロモーションコード、公正競争規約等に関する理解促進への取り組み
    • 競争法コンプライアンス規程の周知徹底
    • 透明性ガイドラインに基づく情報公開の推進
  8. 流通機構における情報化等への取り組み
    • 物流2024年問題への対応
    • 医療機器及び部材等の物流に関する課題への対応
    • 医療機器流通特有の課題への対応
  9. 情報発信の強化
    • 国民に対する医療機器への理解度の向上策の検討
    • MTJAPAN活動の対外発信力強化の検討
    • 会員に対する情報提供の質向上策に関する検討
    • MTJAPAN医療機器統計資料の編纂と対外活用の推進
  10. 環境規制への取り組み
    • EOG大気排出抑制対策への取り組み
    • 原材料、化学物質及び環境等に関する法規制の周知と遵守の徹底
    • 医療機器のライフサイクルに纏わる環境対策への取り組み
  11. 災害発生時の安定供給への取り組み
    • 安定供給確保のための防災訓練の実施
    • 製造所・流通拠点マップの整備
    • 被災状況および影響度の迅速把握に関する方法の検討
  12. MTJAPANのさらなる活性化に向けた取り組み
    • MTJAPAN設立10周年記念事業を通じた会員相互のコミュニケーションとエンゲージメントの向上
    • 次世代人材育成策の実施
    • 中期ビジョンの策定
    • 業界組織率の向上をめざした新規会員の獲得

以上

2023年度部会事業計画概要

  1. 第1ディスポ部会

    国際規格委員会によるISO等の情報提供を継続する。また、法制委員会、安全性情報委員会、企業倫理委員会、環境委員会等の各委員会、並びに公取協MTJ支部によるタイムリーな報告、講演を行う。JISについては、改正に向けた活動を継続する。

    さらに、MTJ人財育成施策へ対処するとともに部会としては幹事会社募集による人財育成への取り組みを継続する。

  2. 第2ディスポ部会

    競争法コンプライアンス規程を遵守し、理事会及び各委員会情報の部会内共有化を図っていく。また、部会員の意見・要望を収集し、各委員会等へ提案していく。

    今年度は、手術用手袋のJIS改訂が控えているので、日本グローブ工業会との連携を図っていく。

  3. 人工腎臓部会

    業界を取り巻くさまざまな環境変化に適確且つ迅速に対応するため、関連学会等ステークホルダーとより一層の連携強化に取り組む。また、部会員への適宜・適切な情報提供と共有化等により部会活動の更なる活発化活性化を図る。

  4. 人工心肺部会

    関連する学会、部会との連携強化を図り、環境変化への対応を行う。部会企業への適切な情報提供と情報収集を迅速に行い部活動の活性化を図る。

  5. 血液浄化部会

    関連する部会・委員会、学会等との連携を行いながら、当部会の関連課題に対する活動を実施する。医薬品医療機器法や安全対策、災害対策、安定供給、診療報酬、企業倫理などの関連情報を迅速かつ適切に共有しながら対応を行い、医療機器業界の発展に向けた健全で適切な活動を推進する。

  6. 第1カテーテル部会

    MTJAPAN理事会、事務局、各委員会等から情報について、幹事会にて情報を吟味、整理し、部会等でタイムリーに情報提供していくことにより組織力、提言力の強化に努める。特に今年度は、償還価格改定に関わる動きがある年であるため、各種調査への部会員の積極的な参加を図り、保険に関わる諸制度とそのタイムラインについて部会員、STM リーダーに周知していく。また、昨年度に引き続き、製品の安定供給、コンプライアンスに関わる情報について部会員に周知する活動を展開する。

    幹事会、部会等の開催に当たっては競争法コンプライアンス規程を遵守する。また、ハイブリッドでの部会開催により、双方向の意思疎通の活性化を図る。

  7. 第2カテーテル部会

    部会員への国内外の基準・規格の改定の動向、関連法規ならびにコンプライアンスを周知する活動をWeb開催での部会、必要に応じたメールでの情報共有を行う。

    部会では、法制委員会部会代表者及び公取協MTJAPAN支部運営委員会部会代表者による関連法令に関する情報共有、行政等からの最新情報を周知する。

  8. 総合インプラント部会

    部会参加率とSTMリーダー企業の入会を促進するとともに、コンプライアンスの徹底を重点テーマとして活動する。

  9. 整形インプラント部会

    22022年度に引続き部会への積極的参画を促進すると共に、次世代人材の育成発掘を進める。Face to Faceの場も取り入れつつ、定例部会及び幹事会を四半期ごとに実施し、タイムリーな情報の提供及び闊達な意見交換の場を増やす。

    また、各小委員会リーダーと共に整形業界における課題に取り組み、部会全体として法規制への対応、コンプライアンス強化に努めていく。

  10. 再生医療部会

    行政からの通知について部会内で情報共有を行うとともに、意見募集等依頼事項や、説明会の開催等に対して随時対応する。再生医療等製品の諸課題に関する検討会議を通して次期薬機法改正に向けた課題の共有と業界意見の取りまとめを行う。また、GCTP研究班等の公的な活動へ参画し、意見提出や当該活動に関し、部会内への情報共有を行う。さらに、法制委員会での提供、議論された内容で、再生医療にも関連するものと考えられる情報については共有を行う。

  11. 創傷被覆材部会

    企業の健全運営に向け収益環境の改善および適正な競争環境の推進に取り組む。

  12. 在宅医療機器部会

    医療行政において「在宅医療の充実」は引続き重点課題とされている。当部会は、MTJAPANの中で在宅医療関連の事業を行っている企業が集まっている唯一の部会であり、自らの立場・役割を十分認識し、在宅療養を行っている患者さんの安心と安全に十分配慮しながら、更なる質の向上と安全確保に向けて諸課題に積極的に取り組んでいく活動を行う。

    会員各社が携わっている在宅医療は、在宅酸素療法、在宅自己腹膜還流療法、在宅中心静脈栄養法など多岐に亘っていて拡大する方向にあり、取扱っている機器・材料類や対象となる患者様の生活実態などが異なるため、対応が一様でない部分もあるが、必要に応じて分科会新設も行い、行政の理解を深めることも含め、幅広い検討・協議をすすめていく。

以上

2023年度委員会事業計画概要

  1. 産業戦略委員会

    MTJAPAN関連産業発展に向けた産業戦略を担う委員会として、医療機器産業振興に関わる政策の情報共有及び意見交換を行い、医機連と連携しての政策提言、産業成長のための基盤整備等を実施することで、会員及び医療機器産業全体に貢献する。

  2. 医療保険委員会

    2024年度診療報酬改定に向けた業界意見を取りまとめ、定期会合、中医協での意見陳述へつなげる。特に安定供給の確保に向けた不採算の状況調査を実施し、中医協での議論に耐えうるエビデンスづくりと理論武装を行う。

    また、厚労省産情課や関係団体とは、意見交換などを通じ、引き続き連携を密に取り、一枚岩で改定に臨むこととする。

    会員向け説明会・講習会ならびに、委員会のレベルアップを目的とした有識者との勉強会などは、オンラインの活用など感染対策は継続しつつも活発に実施する。なお海外調査はコロナの状況を鑑み、国内での調査活動を中心に進める。

  3. 国際委員会

    会員企業の国際展開を支援するため、国際産業動向、規制情報や国際展開推進施策等について、国内外のステークホルダーとも連携して調査研究し会員企業情報提供する。加えて海外展示会等でシンポジウム開催やブース出展等の国際交流を通して会員企業の優れた商品力、髙い技術力の海外展開支援に取り組む。

    さらに、アジアパシフィックや米国における医療機器産業の動向や業界団体の活動状況把握のためAPACMedやAdvaMedのCONFERENCE等に継続参加し、得られた情報の共有化に努める。

    また、コロナ禍により一昨年度より持ち越しとなっている海外展開支援に関する現地調査の実施・研究等に引き続き取り組む。

  4. 技術委員会

    医療機器の技術開発の振興・成長に寄与することを目的として、医療IT、EMCなど医機連技術委員会と連携し活動を行う。

    また、医療機器技術者の育成支援やレベルアップを目的に、知的財産戦略の推進、関連技術動向の調査研究など、技術開発の振興に資する調査研究を行うとともに関連施策の提言に取り組む。

  5. 流通委員会

    物流2024年問題による医療機器物流への影響について調査・確認を行い、予想されるサービスレベルの低下を補うための効率化方策を関係団体と協議し策定。関係当局に対して提言する。

    ICT利活用の推進、医療機器流通特有の課題への対応について関係団体との情報共有、連携しながら取り組む。

  6. 環境委員会

    EO排出抑制に関する自主管理計画の推進を図る。会員企業における自主管理目標の設定、管理の実施状況の調査を行い、MTJAPAN 自主管理計画の進捗状況を評価する。会員企業から寄せられた疑問点、課題に対し、MTJAPANとして必要な対応を実施していく。

    原材料、化学物質に関する国内外の規制について情報を収集し、共有化する。

    環境委員会セミナーを企画し、原材料、化学物質に関わる情報を発信していく。

  7. 法制委員会

    医機連の活動と連携して「医療機器規制と審査の最適化のための協働計画」の課題等について情報共有・協議に取組む。MTJAPANでの議論を活性化させ、規制や審査の最適化に向けた新たな提案について発信していく。会員へのタイムリーな周知を継続実施する。

    持続的成長に向けた取組みとして、意見交換や交流の場を提供し人材育成の一助としていく。また、次期薬機法改正に関しては、動向を把握しながらMTJAPAN として積極的に参画する。

  8. 安全性情報委員会

    今年度も前年度と同様に、医機連PMS委員会への参画及び報告、MTJAPAN主催:販売業・賃貸業・修理業の営業管理者継続的研修への協力及び「安全管理に係る説明会」を軸に活動をして行く。

  9. QMS委員会

    前年度に引き続き,医機連QMS委員会と連動し,医薬品医療機器法への対応(特に,改正QMS省令への移行),ISO 13485定着及びMDSAP対応を中心に最新動向の周知を図ると共に,製販業者/製造業者のQMS底上げを図るべく,啓発に努める。

  10. 国際規格委員会

    ・ISO/TC(76,84,150,194,198)国際会議への専門委員派遣及び ISO規格制定、改正の推進
    ・ISO/TC(76,84,150,194)国内委員会の開催、運営
    ・JIS 小委員会、JIS 原案作成委員会の開催及びJIS規格制定、改正の推進
    ・国際規格委員会の開催
    ・国際規格審議団体分科会(医機連主催)への参加

  11. 臨床評価委員会

    医機連・臨床評価委員会との連携し、医療機器の治験・臨床研究等の臨床評価全般について、法規制及び国際整合化に向けて課題抽出と解決に向けた活動を行う。また、会員企業や臨床試験関係者に対しては、関連通知や成果物の啓発活動に取り組む。

  12. 広報・教育委員会

    医療機器の価値ならびに MTJAPANの取り組みを社会に伝える。

    広報及び教育活動を充実させ、MTJAPAM 全体で組織力強化、情報の共有化を図る。

  13. 企業倫理委員会

    適正広告ガイドや透明性ガイドラインの改定版の周知活動に加え、関連法令やルールの理解促進・遵守徹底に向けた啓発活動を行うことにより、会員企業が高い倫理観を持ち、コンプライアンスを基盤とする事業活動を実現し、医療機器業界に対する社会からの信頼性確保および向上に寄与することを活動目的とする。

    活動に際しては医機連や公取協MTJAPAN支部との連携を行う。

  14. 統計委員会

    2023年度版MTJAPAN医療機器統計資料の発行を目指す。引き続き統計データの精度の維持向上を図るとともに、より有用で活用度の高い資料とするべく、継続して編集内容の見直しや資料の有効利用に関する検討も進める。

  15. 機器・メンテ委員会

    医療機器に関連する基準・規格や基盤技術から保守点検・修理について調査・検討を行い、品質・安全確保に向けた施策の立案・提言について、医療機器を保有している各部会と横断的な連携をはかり、課題検討や情報共有を行う。また、医機連技術委員会EMC分科会や販売・保守委員会へ委員を派遣し、医機連とも連携しながら活動を行う。

    その他、医療機関における保守管理の啓発活動を継続するとともに、2023年より適用となるサイバーセキュリティの国内導入等に関する諸課題について関連委員会・部会等と連携しながら活動を行う。

以上