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インフォメーション

三方活栓等の医療用具のひび割れについて

                                                  2003年12月25日
日本医療器材工業会
ポリカーボネート対応ワーキンググループ
 

薬剤の投与中に三方活栓等のメスコネクター部にひび割れが生じる事象が医療機関から報告されております。平成14年11月及び平成15年5月に厚生労働省から本件に係る自主点検の通知が発出されたことを受け、日本医療器材工業会では当該通知への対応としてポリカーボネート対応ワーキングを設置し活動いたしてまいりました。
 
試験の結果、脂肪乳剤、脂肪乳剤を含有する製剤、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などの油性成分、ポリソルベート、プロピレングリコール又はエチレンジアミンなどの界面活性剤、ベンジルアルコール等のアルコール成分を含む製剤で三方活栓等にひび割れが発生することが確認されました。これらの成分を含有する全身麻酔剤、免疫抑制剤などの薬剤の場合は薬剤等の漏れ、また、その他の薬剤においても空気混入などにより重篤な影響を及ぼす可能性がありますので、以下について周知徹底等の適切な対応をお取りくださいますようお願い申し上げます。

 
【厚生労働省の自主点検通知】
厚生労働省医薬局安全対策課長通知(医薬安発第1101002号 平成14年11月1日付け)
厚生労働省医薬局安全対策課長通知(医薬安発第0526001号 平成15年5月26日付け)
 
【対象となる医療用具について】
1) ポリカーボネート樹脂製の三方活栓、延長チューブ(メスコネクター部)などの医薬品の持続投与(点滴)に用いる輸液ラインが主な対象となります。また、中心静脈カテーテル等のカテーテルにもポリカーボネート樹脂製のメスコネクターが使用されております。
2) また、ポリカーボネート以外の樹脂として、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)樹脂、PMMA(ポリメチルメタクリレート)樹脂なども同様の事象が発生する可能性があります。
 
【ひび割れを助長する要因について】
ひび割れは、三方活栓等のメスコネクター部にオスコネクターを接続することにより、メスコネクター部に物理的に過剰な応力が加わることにより発生しますが、発生を助長する要因(発生を促進する、発生頻度を高める)として以下の事項があげられます。
(1)締め付け強度
(2)締め付け回数
(3)使用時間
 
【ひび割れを生じる薬剤等について】
1)当ワーキンググループでは、以下の成分を含有する薬剤について試験を実施し、ひび割れが生じることが確認されました。
  (1)脂肪乳剤
  (2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
  (3)ポリソリベート
  (4)プロピレングリコール
  (5)エチレンジアミン
  (6)ベンジルアルコール
2)生理食塩液ではひび割れは発生することはありませんでした。
3)医薬品企業においてもひび割れについて自主点検を行っておりますので、ひび割れを生じる可能性がある具体的薬剤については医薬品企業にご確認ください。
 
【添付文書の改訂について】
当工業会では、添付文書を改訂し、各社記載内容の統一を図ります。
 
使用上の注意(重要な基本的注意)
1.使用中は本品の破損、接合部のゆるみ及び薬液漏れ等について、定期的に確認すること。
2.脂肪乳剤及び脂肪乳剤を含む医薬品、ヒマシ油等の油性成分、界面活性剤又はアルコール等の溶解補助剤などを含む医薬品を投与する場合及びアルコールを含む消毒剤を使用する場合は、三方活栓及びコネクターのひび割れについて注意すること。[薬液により三方活栓及び延長チューブ等のメスコネクターにひび割れが生じ、血液及び薬液漏れ、空気混入等の可能性がある。特に、全身麻酔剤、昇圧剤、抗悪性腫瘍剤及び免疫抑制剤等の投与では、必要な投与量が確保されず患者への重篤な影響が生じる可能性がある。なお、ライン交換時の締め直し、過度な締め付け及び増し締め等は、ひび割れの発生を助長する要因となる。]
3.ひび割れが確認された場合は、直ちに新しい製品と交換すること。
 
【試験結果の掲載について】
当ワーキンググループで行いました試験結果は、当工業会ホームページに掲載しておりますので、下記添付資料でご覧になれます。

ポリカーボネート製三方活栓のクラックに関する試験報告書1(脂肪乳剤)[pdf]
ポリカーボネート製三方活栓のクラックに関する試験報告書2(油性成分、溶解補助剤)[pdf]


【本件のお問い合わせについて】
試験及びその他お問い合わせについては、ご使用の医療用具の製造業者若しくは輸入販売業者にお問い合わせいただきますようお願いいたします。


ワーキング参加の企業名と評価した三方活栓名称
業者名 販売名 問い合わせ先
テルモ株式会社 テルフュージョン三方活栓 TEL:03-3374-7199 東京都渋谷区幡ヶ谷2-44-1 担当:高尾(薬事部)
株式会社トップ トップ 三方活栓 TEL:03-3882-3101 FAX:03-3881-8163 東京都足立区千住中居町19-10 担当:山崎(薬事課)
ニプロ株式会社 ニプロ三方活栓 TEL:06-6375-6738 FAX:06-6375-0171 大阪市北区本庄西3-9-3 担当:岸(薬事管理部)
日本ベクトン・ディッキンソン株式会社 コネクタ 三方活栓 TEL:03-5413-8244 FAX:03-5413-8188 東京都港区赤坂8-5-26 赤坂DSビル 担当:清水(メディカルアフェアーズ)
株式会社ジェイ・エム・エス JMS三方活栓 TEL:082-243-5806 FAX:082-243-5948 広島市中区加古町12-17 担当:浦冨(品質保証室)
株式会社八光 (旧 八光メディカル) 三方活栓 TEL:026-275-0121 FAX:026-276-0492 長野県千曲市大字戸倉温泉3055 担当:塩野入(商品開発部)
日本シャーウッド株式会社 セイフTポート TEL:03-3355-9414 FAX:03-5366-6896 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-27-7 担当:八島(薬事課)